“和”を現在に接続するため、ぼくは着物を着る。「令和」改元のいま、“和”の正体に迫る

2019年、5月1日、平成が終わり、新しい時代が始まりました。

平成はどんな時代だったでしょうか? なかなか一言では言い表しにくいですよね。

ぼくは、平成は「山を崩した30年」だと思っています。

多くのピラミッド型の構造は壊れ、マウンティングによる相対的な幸せは価値を失った。 幸せは高い所にあるわけではないと気づき、近代以降に積み上げた山を20年かけて崩し、そして、“平”らに“成”った…。

ぼくは、幸せや未来は、道の先にあると気づきました。

そこで、みなさんに質問。

「和って、なんですか…?」

いよいよ令和の時代になりましたが、令和の“和”って、一言で説明できますか?

小野幸惠『和と出会う本』(アルテスパブリッシング)

 

今回ご紹介する本はこちら! 『和と出会う本』(アルテスパブリッシング)です。

2019年、ついに新元号「令和」の時代がはじまりました。雅やかでステキですね!

その是非とか考察とか、色々あるようですが、ぼくらが全員「出典が…」とか「和歌の…」など、細かいことまで知っていなきゃいけないか? となると、現実にはなかなか…です。

とはいえ、だれかに「“和”って、なに?」と聞かれるシーンはありそう…。 そのとき、どう答えたらいいのでしょう?

ググってみても、「日本風のこと」くらいしか手がかりはない。いつかAIに解析させても、今のままではきっと曖昧なままかも…。 でも、なんとなく、ぼくらの頭の中などにはあるのは…。

たとえば、日本で育っていない外国人が、日本のことをエキゾチシズムで捉えて感動するのはいいとしても、日本で育った人が表面的なことしか話せないのは、色々残念 (今のぼくがそうです…)。

だから、“和”をワンフレーズで定義するのは無理だとしても、自分の中の“和”のイメージをハッキリさせておきたい!

ということで、はい! この本。『和と出会う本』です。

 *

この本は、音楽雑誌『アルテス』で連載されていたコラム集です。

ここで取り上げている日本の文化は、 音楽(声明/雅楽)、芸能(歌舞伎/狂言/文楽/落語)、工芸(奈良晒/江戸からかみ/金継ぎ/暖簾/茶道具)、美術(日本画/絵馬)、建築(一条恵観山荘/奈良基督教教会)、味覚(三陸の海の幸/信州の伊那栗)、仏教(湖北の観音像/東大寺修二会)。

出てくる著名人は、 市川染五郎(歌舞伎)、桐竹勘十郎(文楽)、杉本博司(写真)、東儀秀樹(雅楽)、野村萬斎(狂言)、柳家花緑(落語)ほか。

本の帯にはナガオカケンメイさんのコメントが載っています、と言えば、なんとなく伝わるでしょうか。

引用します↓

「あらゆる日本の条件が日本独自の“つづく”を生み出している。この本には日本らしくつづけるための〈和〉の正体が書いてある。」

まったく、その通り…!!(お辞儀)

この本は、いわゆる「日本、最高だよな!」というノリの本ではなく、「和の本質」に向かうために、芸能/工芸/建築/祈りetc.の具体的な話が、とてもバランスよく収められています (写真もあるので、右脳でもイメージしやすいです。本編が白黒の写真印刷になっているのも、見る側の想像力の余白になっていて、いい)。

パラパラとめくるだけでも、和の宿るところのイメージがつかめます。

そして、著者は「あとがきー「和」と出逢う」で、こう記しています。

「私たちが“和”として認識するものに共通するのは、唯一、日本という島国で育まれた文化であるということ」

「その特徴は、“和”の変容のしかたと継承の形態に見いだすことができる」

「古(いにしえ)からの伝統ということを考えるとき、そこに生命(いのち)がかよっているか否かが重要である」

「担い手によって変容はするが、より磨かれ研ぎすまされる。しかし、そうではないものは淘汰されていく。そうして、この日本で、長い歴史を経ても淘汰されずに残っているものが“和”」

著者が引用していた言葉を、ここでも引用しておきます。

「現在の表現を生かせない古き良きものは、伝承ではあっても伝統ではない」(金子兜太)

つまり、「現在」=「今」の“和”にたくさん向き合うことで、「真実の“和”」を見きわめることができる、と著者は言います。

 *

この本では、「和とは◯◯である」と、明確な言葉では書かれていません。しかし、これから日本人が“和”をとらえて、“和”を引き継いでいくときに出会うであろう、「イメージ」や「キーワード」を知ることができます。

そうした「単語」たちは、これからの令和の時代に、頻繁に使うことになるはずです。

文化としてのDNAの、遺伝形質が、どこに発現しているかをつかんでおくこと。それが「伝統」や「歴史」という言葉を使うときにとても重要だと思います。

2020年には東京オリンピックも開催されます。きっとその後も、東洋の思想や文化が世界的に求められる流れは、勢いを強めていくでしょう。その時、必要とされる日本人の「役割」。 (詳しくは僕の前の記事を参照ください)

これから先、そうした流れになるからこそ、その“和”を形作るための「言葉/キーワード」を、僕は、自信を持って使えるようになっていたい。

そして、これらのキーワードを自在に扱える人の数が増え、たくさん語り合えるようになった時こそ、“和”が「現在」に接続し、そこに「和の実態」が立ち上がっているのでしょう。

そうやって少しずつ、日本人が世界から求められる「役割」を、ぼくは果たせるようになっていきたい。今すぐには無理ですが、時間と意識の使い方を変えていくつもりです。

最近、僕の実践として、休みの日に着物を着る機会が増えてきました。

(詳しくはtwitterの #令和装 #令和元年を着物元年に)

次はそれを、「祝日に着物を着る」ということにしてみようかな、と考えています。

日本には四季があり、季節の変化が大きく、祝日もとても多い。なので、“季節感”と“祝う意味”を味わいつくすためにも、その祝日にちなんだ着物を着ていきたいです。

さらに、祝日と祝日の間は、次に迎える祝日の趣旨や意味につながる何か(例えば季節感)を先取りしていく期間にすることもできます。

そうすることで、365日すべての「今日」を、「今ここ」を、大切にすることに繋がるのでは、と考えています。

 *

ただ、時間は、「今」だけでなく、「過去」も「未来」もあるし、何もせずとも「未来」はやってきます。

では、どんな未来にしていきましょうか?

きっと未来は、ぼくらの想像や妄想が形作っていきます。

そんな時、もし、これからの日本や世界を大幅に更新する天才的アイデアをひらめいたとしても、それは現実離れしているがゆえに、今と過去を生きる現在の多数派の人々からは支持を得られず、夢は幻となって潰えてしまう…。

ならば、「歴史や古典への敬意がある者」にこそ、現実の、リアルの世界を、実際に、確実に変えていけるのではないかと思います。

つまり、そこで必要なのは、過去との『対話』。 大切なのは、「現在」と「過去」を対話させること。

死者と会話をするのは、今のテクノロジーではまだ難しいですが、「本」であれば対話ができます。 現在の“和”を入り口に、過去と対話ができる。

みなさんそれぞれ、この本の好きなところ、引っかかったところを、深掘りしてみると楽しいと思います。

ぼくは、「能」と「茶」です! 世阿弥と千利休! これから(世界と比べて相対的に)減速するであろう日本の、「減速分」を「豊かさ」に変換するためのヒントが隠されていると思っています。

減速しても、価値を縮小させないために。 それが、日本が世界に対して、先陣切ってトライしておく必要のあることだと、ぼくは考えています。

(それは「自らの喜びの探求」と「世界の喜び」を接続させることでもある…)

さて、これには続きがありますが、今回はこの辺で…。 次に紹介する本のブログをお待ちください。

予告!

「日本経済の減速と、縮みの文化(仮)」

ともに、良き未来を、令(よ)き“和”を、担う者になりましょう!!

そして、合言葉は、「ここから会話を始めよう」。

連載コラム:本屋さんの「推し本」

本屋さんが好き。

便利なネット書店もいいけれど、本がズラリと並ぶ、あの空間が大好き。

そんな人のために、本好きによる、本好きのための、連載をはじめました。

誰よりも本を熟知している本屋さんが、こっそり胸の内に温めている「コレ!」という一冊を紹介してもらう連載です。

あなたも「#推し本」「#推し本を言いたい」でオススメの本を教えてください。

推し本を紹介するコラムもお待ちしています!宛先:book@huffingtonpost.jp

今週紹介した本

小野幸惠『和と出会う本』(アルテスパブリッシング)

今週の「本屋さん」

家田和明(いえだ・かずあき)さん/ジュンク堂書店 ロフト名古屋店(愛知県名古屋市)社会/ビジネス書担当

どんな本屋さん?

若者が集う栄のナディアパーク内にあり、約80万冊のストックを誇る、東海地区最大級の品ぞろえの書店です。「ロフト名古屋」の地下1階と7階が売り場になっています。なかでも7階の社会ジャンルのコーナーでは若者向けの商品陳列に力を入れていて、お店の特色が出ているので、足を運んだ際はぜひ見ていただきたいです。

(企画協力:ディスカヴァー・トゥエンティワン 編集:ハフポスト日本版)

Source: ハフポスト