東京医大不正入試で2019年の女子合格者が急増?⇒この噂デマでした(全国調査の結果)

二次試験を受ける受験生

この記事のポイント

■女子の合格率が男子を上回った学校は、2019年度のほうが少ない

■前年度、女子合格率が高かった大学は軒並みダウン。低かった大学は上昇傾向

■回答拒否は東京大学など5大学。国立は1校のみ

2018年の医学部医学科不正入試問題を受け、2019年度は「医学部の女子が急増した」という噂がささやかれている。

新入生がキャンパスに現れた4月には、「多くの私立医学部で今年度の新入生の女子比率が急に跳ね上がったと聞いた」という内容のツイートもあり、800以上リツイートされた。

ハフポスト日本版は、男女共学の医学部医学科がある81大学にアンケート調査を実施。回答した74校のデータを見ると、前年度よりも、多くの大学で女性受験者の合格率は男性受験者よりも低かった。

つまり「女子の合格者が急増した」という話とは反対の結果が出た。

前年度と、どう数値が変化したのか。数字を追ってみた。

2018年度と2019年度の比較表。ピンクになっているところは前年度より上昇。水色のところは前年度よりダウンしている。2018年度と2019年度の比較表。ピンクになっているところは前年度より上昇。水色のところは前年度よりダウンしている。

女子の合格率が男子を上回った学校は、2019年度のほうが少ない

アンケートから男女別の「合格率」(合格者数/受験者数)を割り出し、さらに男子の合格率を「1」とした場合の女子の合格率(合格率の男女比)を比較した。2018年度のデータは、文部科学省の調査から割り出した。

合格率の男女比「1」というのは、男女の合格率が同じという意味。「1」を超えると女性のほうが合格率が高くなる。

2019年度は、アンケートに回答した74校中、1.0を超えた大学は17校だった。全体で23%にとどまっている。

一方、2018年度(文部科学省調査と防衛医科大学校の回答による)は、共学の医学部医学科を擁する81大学/大学校のうち、1.0を超えたものは21校で26%だった。

単純比較はできないが、女性の入学者数が激増したとは言えない。

中央値も2019年度の方が低かった

次に、合格率の男女比について、全体の傾向を見てみよう。

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大学入試センター試験の点数のみで合否が決まるものは除き、大学が独自に入試問題を作り、試験を課しているもののみを対象とした。また、複数ある試験方式ではすべての人数を聞き、そこから合格率を算出した。回答のなかった7大学については、数値を0で表記している。

※グラフが見られない方はこちらへ。

 2019年度のアンケートに回答した74校では、中央値が0.86だった。

この74校について、2018年度の文科省調査の数値を計算すると、中央値は0.93。同年度は81校すべてで見ても、0.91だった。

2019年度の女性受験者の合格率は、国内の医学部全体を見ても前年度より低くなったことが分かる。

前年度、女子合格率が高かった大学は軒並みダウン。低かった大学は上昇傾向

さらに、大学ごとに女性の合格率を2018年度と比較してみる。

アンケートに回答した74大学のうち、前年度と比べ、男性を1としたときの女性の合格率が上がった大学は47.3%。一方、下がったのは51.4%となった。

上げ幅が大きかったのは、筑波大(0.433ポイント)や東海大(0.374ポイント)。逆に、下がり幅が大きかったのは、高知大学 (マイナス0.501ポイント)や三重大(マイナス0.521ポイント)だった。

バラツキがあるように見えるが、個別に内訳をみてみると、ある傾向が浮き彫りになった。

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※グラフが見られない方はこちらへ。

前年度、女性合格率が高い大学では軒並み数値が下がり、女性合格率が低かった大学では反対に数値は上がっている。

私立大学24校では、アップしたのは11校のみ。上げ幅も8校で0.1ポイントを下回っていたが、0.3ポイント以上アップした大学も3校あった。

大幅に数値が上がった3校では、前年度0.97だった獨協医科大が1.31に、0.95だった東海大が1.32にアップ。

0.50だった日本大学も、0.86に上がった。

全体を見ると、前年度に1.0以上と高い数値だった大学は8割近くが数値を下げた。0.9以上までで見ても、65.9%の大学でダウンしていた。

一方で、前年度に0.9未満の下位30校は、2019年度には7割近くが数値を上げていた。

国立は唯一、東大が回答せず

ハフポスト日本版編集部では、全国81大学にアンケートを行ったが、5大学が回答を拒否した。「回答する」としながら、期限内に返信がなかった大学も2校あった。 

アンケートに数値を回答しなかった大学一覧

国立大学で回答を拒否したのは、東京大のみ。

2019年度は入学式の祝辞で社会学者の上野千鶴子氏が「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」などと述べたことが注目を集めたものの、「例年、受験者数の男女比は非公表としているため」という理由で回答しなかった。

私立大学では、2018年度に不正発覚の端緒となった事件を起こした東京医科大、文部科学省から「不適切な事案」として指摘されていた順天堂大のほか、埼玉医科大学、帝京大学も回答を拒否した。

東京医科大は非公表の理由についてハフポスト日本版の電話取材に対し「前年度の事件もありまして、合格者数や受験者数についてはマスコミへの個別アンケートにはお答えしないようにしています」と話した。

文科省から指摘を受けていた大学では、「不適切な事案」とされた昭和大学や、男女と現役/浪人で最高点、最低点ともに大きな差がつき「不適切である可能性の高い事案」と指摘されながらも大学側が認めなかった聖マリアンナ医科大の2校も、当初「回答する」としながらも回答期限までに連絡がなかった。

(取材協力:中村かさね、浜田理央、生田綾、坪池順、泉谷由梨子)

Source: ハフポスト