医学部入試不正問題から初めての入試、文科省に「不適切」と指摘された大学はどう対応した?(全国調査)

東京医科大

 東京医科大が女性であることや年齢を理由に不正な得点調整をした事件の発覚から、初めての入学試験が行われた。

だが、全国の大学では男性と女性の受験生を比べても、女性の合格率は低いままだった

2018年8月の事件の発端から、次々と医学部医学科のある大学で入試不正が明らかになった。各大学は、2019年度入試をどう対応したのか。

ハフポスト日本版では、共学の医学部医学科がある全国81の大学と大学校に記述式アンケートを実施。50校から回答を得た。

「不適切」と指摘された10大学では、7校から回答があった。

不正発覚から初めての入試。文科省に不正を指摘された大学のコメントは 

 2018年度、文部科学省から「不適切」と指摘を受けた大学は、国立大学で1校、私立大学で9校だった。聖マリアンナ医科大については、不正を認めていない。

これらの大学は、この事件をどう受け止め、再発防止について考えたのか。

アンケートを返却した7大学のコメントは以下の通り。

【東京医科大】

本学の入学試験につきましては、入試業務の執務環境の改善、入試委員会の構成及び選任要件の変更(理事長・学長ら執行部が入試委員に就任できないように見直し)、外部有識者による入学試験監査委員会の新設とこれによる監査、不当な要求の排除の徹底等の再発防止策を策定し、既に2019年度入学試験において実施したところであります。

今後、第三者委員会からご指摘いただいた事項を真摯に受け止め、ご提言いただいた事項を含めて再発防止を徹底してまいります。

 

【岩手医科大】

「大学医学部入学試験制度に関する規範」および「日本私立医科大学協会加盟29大学の申し合わせ事項」を遵守し、入学試験を実施いたします。

 

【日本大】

記述式のアンケートには匿名を希望。

 

【北里大】

本学が指摘された補欠からの繰り上げ合格については、2019年度入試では、補欠順位を発表した上で、成績順に電報もしくは電話にて連絡を行いました。

 

【福岡大】

特段のコメントはございません。

 

【神戸大】【金沢医科大】

コメントを記入せず 

他の大学はどんな対策をとったのか

不適切と指摘された大学以外からも多くの回答が得られた。そのうちの一部を抜粋する。

採点時には氏名、性別、年齢を含め、個人が特定されないようマスキングを行っている(山口大)

入学者選抜要項・募集要項で周知するアドミッション・ポリシー(本学では明確化している)、試験方法、合否判定の手順等に基づいて公正な入試を実施することが重要(徳島大)

面接試験では男女差別を助長するような質問はしないように面接官に周知徹底している(関西の私立大学)

入試に関わる情報の取り扱いについては、常に教員、職員など複数人で取り扱うことや、採点~判定処理における匿名化など、基本的なことを愚直に実行すること。(関西の私立大学)

 文科省によると、性別の情報をマスキングしている大学は29校。このほか、年齢や出身地・居住地をマスキングしている大学もそれぞれ40校と37校あった。

受験者の属性情報をマスキングしている大学の状況

文部科学省から指摘された10大学はそれぞれどんな点が「不適切」だったのか

東京医科大をはじめ、文部科学省に指摘された大学は、どのような点が「不適切」だったのか。

国立大学で唯一指摘された神戸大では、受験者の地域によって配点を変えていた。こうした措置は、学生募集要項には書いていなかった。

東京医科大のほか、順天堂大と聖マリアンナ医科大、北里大では、年齢差別のほかに男性が有利になるよう得点調整をしていた疑いがもたれた。

これらの疑惑については、聖マリアンナ医科大を除く9大学が不正を認めた。

文部科学省より医学部入試において「不適切な事案」とされた9大学の内容

東京医科大は2018年度入試まで差別的な得点の不正調整を行っていた理由について、第三者委員会のヒアリングに対し臼井正彦前理事長が、女性は結婚出産で育児をし、その場合勤務時間も長くできないことを挙げ「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」などと述べていた

また、同じく女性差別を行っていたと認めた昭和大は「女子はコミュニケーション能力が高く、補正する必要がある」「20歳を過ぎると差がなくなるというデータがあり、男子学生を救う発想だった」などと語っていた。

医学部入試における女性差別や、年齢による差別は2018年にいきなり起きた事案ではない。

長年しみついてきた悪しき慣習であり、出産や育児をしたい女性が働きにくい環境を整えてきた医療現場による弊害ともとれる。

この問題を2018年度だけの事件として忘れられていけば、問題が改善することは難しい。今後も社会全体で注視し、考え続けていく必要がある。

Source: ハフポスト