【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.6】「コレット」

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
10連休はたくさん映画館に行ったのですが、前に座っていたおじいさんが途中で寝始めて、首が折れるんじゃないかと思うくらいガクンガクン前後に揺れ始めたのです。
ああいうとき、どうするのが正解なのでしょうか……。

さて、令和はどんな時代になるのでしょうね。差別や格差のない、多様性を認める社会になってほしいですね。かなり良い人ぶってますが、そんな願いを込めて今回紹介する映画が『コレット』です。


差別や格差の形は数あれど、多くの国で女性の自由度は制限されているのが現状です。
ですが今から100年以上も前に、世間の圧力や偏見に負けず自由に生きた女性がいました。
それがこの映画の主人公、フランス人作家のシドニー=ガブリエル・コレットです。

【1人の人間として、自由に生きる】

コレットはフランス文学界で最も知られている女性作家で、フランス人女性で初めて国葬されたのも彼女だそう。日本だと誰に当たるでしょうね。
田舎町のサン・ソヴールで生まれたコレットは、二十歳のときに14歳年上の一流作家・ウィリーと結婚し、パリへ移住します。
このウィリーがなかなかというか相当なダメンズで、仲間の作家たちに勉強会と称して?堂々と自分の作品を書かせたりするんですよ。
昔は今よりそういうスタイルが普通だったのでしょうか? そして、彼らへのギャラの支払いが滞ってもめている。浪費癖も浮気癖もひどく、ダメンズ大会があったら入賞できそうです。


借金がかさんでいよいよまずい状況になるんですが、仲間たちはもうゴーストで書いてはくれません。そこで目をつけたのが、コレット。以前から彼女の才能にウィリーはいち早く気づいていたのです(他の作家たちが書く原稿をまとめたり清書?していたような)。
彼女の生まれ故郷を舞台にした自伝的小説ともいえる「クロディーヌ」を書かせ、このシリーズが見事に大ヒット! 人気にあやかった商品などもバカ売れで、2人は誰もがうらやむセレブ夫婦となります。


ここからの展開がすごいのです。自分が本当の作者であることを認められない葛藤と、度重なる夫の浮気による苦悩により、彼女がとった行動は……。
ちょっぴりネタバレですが、バイセクシュアルだったコレットは自らも情事を重ね、やがて執筆活動だけにとどまらず、舞台にも立つことで表現の幅を広げていきます。
自由の国・フランスとはいえ、100年以上前のパリはまだまだ古い慣習が残っていた時代。
自由に生きるためにどんどん行動を起こしていくコレットの姿にスカッとさせられます。


観終わって思うのは、この映画は単に女性の解放を称えるだけのものではないのかもしれません。
昨今の♯MeToo運動に重ねて観られる部分もあるのですが、それよりは「男だとしても女だとしても、1人の人間として自由に生きることの大切さ」をこの映画からは感じます。
夫のウィリーはそもそも女性蔑視というよりは、誰に対してもダメンズです(笑)。だけどビジネスの才能はあるから、コレットもまた彼を必要としていた。
結果的には離婚しますが、彼といたことによって創作活動における自我が目覚めていったのだと思います。ダメンズの肩を持ちすぎでしょうか。


ハンガリーのブダペストで撮影したという美しい風景や建物、そして1890~1910年代のパリの華やかなファッションも見どころ。ダメンズ好きも必見の映画です。


今日からフランス文学青年になろうと思います。

「コレット」 5月17日(金) TOHOシネマズ シャンテ、 新宿武蔵野館 ほか全国ロードショー
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
© 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文・撮影(本のみ)/編集部・小松正和

次回5/17(金)は「僕たちは希望という名の列車に乗った」です。お楽しみに!

Source: オレンジページ☆デイリー