海外からみる「アジア人像」についてハリウッド的観点から考えてみた

Your English is really good for a Japanese person

英語を勉強している人なら、外国人に一度は言われたことがあるのではないでしょうか。この「日本人の割に英語上手だね!」というフレーズ。

Teach me Karate!

日本人なら空手ができて当たり前だと思われていました。笑

You don’t look Japanese

また、いわゆる「日本人らしい顔立ち」をしていない人だとこのように言われることもあるのではないでしょうか。これに該当する私の場合海外ではもちろん、空港の入国審査時でも「本当に日本人?」とよく確認されます。ただの雑談程度ですが。笑

おそらく日本は島国であり移民や難民を積極的に受け入れていないことから、他のそうである国々よりも、一定の日本人像のイメージが強いのでしょう(もちろん一定のイメージが強いのは日本に限りませんが)。

私と同様、日本人離れした顔立ちをした母はメキシコの空港で、日本人にはみえなさすぎて怪しまれた結果、大勢のいる荷物チェックの場で荷物をひとつずつ(下着まで)広げて点検されたことがあると言います。

最近だと、書類や荷物に何の問題もなかったのに母だけ別室へ連れていかれて色々と質問をされたことも。海外旅行が好きな母はそんな経験を数えきれないほどしてきたそうです。

それだけ、海外からみても「日本人」や、さらに広域にすると「アジア人」といったカテゴリーのイメージやレッテルは根強く存在するのでしょう。

ハリウッドでのアジア人の立ち位置

そこで、ここまで強烈な「イメージ像」とはどこで形成されているのか考えてみました。

形成要素はたくさんあると思いますが、大きな要素のひとつは、私たちが娯楽として目にすることの多いエンターテイメント産業にあると考えられます。その代表格であるハリウッドでも、各人種へのイメージやレッテルは明確に示されていました。

ステレオティピカルなアジア人の演出として代表的なものだと『ティファニーで朝食を』のミッキー ルーニー演じるミスターユニヨシはひどすぎました(苦笑)。 いわゆるアジア人の特徴を必要以上に誇張した演出ですね。

『ティファニーで朝食を』

アジア人キャラクターのミスターユニヨシを演じるミッキー ルーニー

画像:IMDb

このように誇張されたアジア人というステレオタイプの元に、アジア人がキャスティングされることはありましたが(この例の場合、ミッキー ルーニーが演じているためキャスティングさえされていないですが)、ステレオタイプ関係なくアジア人がキャスティングされることは滅多にありませんでした。

『ベスト・キッド』

カンフーを教えるミスターハンを演じるジャッキーチェン(左)

ちなみに、主人公級でアジア人が演じるべき役であるにも関わらず、白人が演じるという矛盾もありました。『アロハ』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』、『ドラゴンボール・エボリューション』などがその例であり、異文化を白人の文化として描くという意味合いの”Whitewashing”や”Cultural Appropriation”という言葉で批判の的になっていました。

『アロハ』

中国とハワイとスウェーデンのミックスという主人公アリソンを演じるエマ ストーン

画像:IMDb

『ゴースト・イン・ザ・シェル』

原作:攻殻機動隊 押井守監督による日本の劇場用アニメ映画の実写版。主人公の草薙素子を演じるスカーレット ヨハンソン

画像:IMDb

『ドラゴンボール・エボリューション』

鳥山明の漫画作品『ドラゴンボール』の実写版。孫悟空とブルマを演じるジャスティン チャットウィンとエミリー ロッサム

画像:IMDb

役柄に関係なく、白人を主人公にキャスティングするのには様々な理由があると考えられますが、主な理由は、白人が主人公である方が映画の興行収入が高まるからだと言われています。

そのため、ハリウッド映画でアジア人に限らず非白人が主人公としてキャスティングされることは稀でした。

2016年のアカデミー賞ではアカデミー賞俳優部門にノミネートされた20人が前年に続き、すべて白人であったことから#OscarsSoWhite(白人ばかりのアカデミー賞)とSNS上で批判が広がっており、有名監督のスパイク リーさんや俳優のウィル スミスさんが授賞式出席をボイコットしたことは記憶に新しいのではないでしょうか。

空手のプロでもオタクでもない「ただのデイビッド」

人種の偏りが明確なハリウッドだからこそ、最近だと、映画『サーチ』でアジア人が、空手のプロでも、オタクでもない、ただの「主人公」として映画にキャスティングされたことが話題となっていたのでしょう。

『サーチ』

主人公のデイビッドを演じるジョン チョー

画像:IMDb

最近ではこのような時代の進歩を感じる作品が多く出てきており、『クレイジー・リッチ!』や『好きだった君へのラブレター』など、アジア人がメインキャラクターとして、しかも1人、2人ではなく多数出演している作品が公開されています。

『アロハ』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』は一流キャストを使い、制作費に大金をかけていますが、大してヒットしなかっただけでなく、異文化を白人の文化として描く、いわゆるWhitewashをしていると批判の的となりました。

それに対して、『サーチ』や、『クレイジー・リッチ!』は大成功を遂げ、ダイバーシティーを尊重したキャスティングは多方から評価を受けていることから、制作側、鑑賞側、双方の変化を感じます。

従来の「勝ちパターン」は減り、多様性を重視したキャスティングが目立つように

白人が主人公でないと映画がコケると思われていた時代は終わり、今のエンターテイメントには、消費者の数だけの多様性が求められているのではないでしょうか。

このようなハリウッドの流れは、海外からみた「日本人」や「アジア人」に対する固定概念の緩和を助長するとてもポジティブな流れだと感じます。

また、このような進歩はアジア人のみならず、黒人(『ブラックパンサー』)やヒスパニック系(『ジェーン・ザ・ヴァージン』、『デビアスなメイドたち』 )、女性(『オーシャンズ8』)等、映画界全体としてもマイノリティを主人公にする流れが見受けらます。

『オーシャンズ8』

大人気オーシャンズシリーズの女性キャスト版。女優のサンドラ ブロックから歌手のリアーナまで多様なキャスティングが話題に

IMDb

ハリウッドをはじめとするエンターテイメント業界が発信するヒトやモノへのイメージが持つ影響力は膨大なものだと考えられますが、そんな業界がここ数年大きな変化を遂げています。

そしてその変化は私たちの生活にも大きく影響するのではないでしょうか。

一個人の外見や性格、文化において、一定のイメージやステレオタイプを持つことが必ずしも間違っているとも思いませんし、そもそもネガティブなものだけでもないです。

ただ、そこに当てはめすぎると不快なおもいをする人が出てきたり、大きな問題に発展するのでしょう。

多種多様なキャストがスクリーンを彩ることができるようになってきたことをきっかけに、私たち鑑賞者の視野がさらに広がると素敵だなと思うんです。

Source: ハフポスト