SOGIハラとは? レインボー国会で議論「差別は広がっていて、それは人の命を奪うもの」

性自認や性的指向による差別を解消しようと、国会議員や当事者、企業の担当者が語った

どういう性別の人を好きになるか、自分がどんな性別なのかが自由に受け入れられる社会を目指し、法整備を進める「レインボー国会」が12月13日、衆院議員会館で開かれた。レインボー国会は今回で3回目。

企業や行政による、性的マイノリティの人に対する差別を禁じることが明記された「LGBT差別解消法案 (通称)」が、12月5日に野党6党・会派によって再提出されてから初めての回となった。

国会議員が法案についての進捗を説明したほか、自治体や企業の取り組みが紹介された。

SOGIって?

性的指向・性自認という意味を示すSOGI

SOGIハラ、という言葉を聞いたことがあるだろうか。

SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)・Gender Identity(性自認)の略。つまり、どういう性別の人を好きになるか、自分の性別をどのように認識しているかという意味だ。

レインボー国会では、SOGIを理由に差別的な嘲笑をされたり、嫌がらせや暴力などを受けるSOGIハラスメントを防ぐためにはどういった法規制が必要なのかが話し合われた。

LGBT(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー)という言葉が、性的マイノリティというカテゴリーとして「特異な存在」と意識されてしまうことに対し、SOGIはすべての人に対し、自分の属性が何かを示すものとなっている。

ただ、セクシャリティと法について詳しい金沢大学の谷口洋幸准教授は「法政策を考えるにあたっては、LGBTもSOGIもどちらも重要な言葉」と注釈した。

谷口教授は「LGBT当事者の人々が抱える困難があるという現状は、裏を返せば、いまの法政策がLGBTではない人だけを前提に作り上げられているということ。つまり、性的指向・性自認(SOGI)によって人々が分断されている状況だ」と指摘。

さらに「こうした法政策が明示的にせよ黙示的にせよ、この分断に加担してしまっているのではないか」と話した。

国際的な法政策は?

セクシャリティと法について詳しい金沢大学の谷口洋幸准教授(右)

SOGIに関する法政策は、2001年に世界で初めてオランダで同性婚が認められる法律が施行されてから、国際社会で急速に議論が進み始めた。アジアでは台湾で2017年5月、同性のカップルに婚姻の権利を認めないのは、憲法に定められる「婚姻の自由」と「平等」に反するという憲法解釈がなされた。

婚姻のほかにも、SOGIを理由にした差別をなくし、安心して暮らせる社会にするための法政策が各国で議論されている。

谷口准教授は、差別をなくすための法整備では「尊重・保護・充足・実現の観点が重要」と説明する。

性自認を法的に承認するなどして、個人の尊厳として性的指向・性自認を位置づけ、ありのままに生きられるように尊重する。

相談事業を行ったり、現状を調査し「何が問題なのか」を認識する。そしてLGBTの人々への偏見・差別を防止し、救済するシステムを構築することで保護し、安心して暮らせるようにする。

充足や実現の観点では、社会の基盤を整えることが重要だ。個人個人のSOGIを理由として、教育の機会や社会保障などの不利益を受けないように、教育現場でSOGIとは何かを伝えたり、法曹界や警察などの専門家の意識啓発をしたりといった政策が求められる。

谷口准教授は「日本は、国連LGBTコア・グループのメンバー国でアジアの代表という重要な地位にあるが、国内での法政策は進んでいるとは言いがたい。いまあることをもう一度やるのではなく、次に何が必要で、どこに問題があるのかを再度確認して法政策を考えていかないといけない」と話した。

自治体の条例について語る内藤忍・副主任研究員

また、労働政策研究・研修機構で労働法についての研究をする内藤忍・副主任研究員は東京都の多摩市や渋谷区の条例について言及し「調査の結果、必要な場合は是正勧告や指導をすることや、相談の申し立ての制度などについても書かれている。『~してはならない』という文言だけでは実効性はない。きちんと救済される制度をつくることが大切」と指摘した。

法律婚や事実婚での制度を同性婚パートナーにも拡大

今回のレインボー国会では、内定者にトランスジェンダーであるという告白をした人がいたことから、2017年ごろから制度や従来のスタンダードを変えようと動いたJR東日本の事例も紹介された。

人事部の業務革新・ダイバーシティ推進グループで制度変更にあたった尾上さやか課長は「自身の性自認などについて隠さず、ストレスなく働ける職場にするには、正しく知るというところから始めた。こうした動きは、性的マイノリティのお客様へのサービス品質向上にもつながる」と語った。

企業の人事担当者が取り組みを紹介した

JR東日本では、2017年から人事担当者を対象にした研修やマネジメント研修に性的マイノリティを含むダイバーシティの項目を追加。また障がい者や外国籍、性的マイノリティの人に対するキャリア相談を設けた。

そうした会社方針をCSR報告書などにも記載するようにしたという。

既存の枠組みでは法的な配偶者のほか、事実婚カップルに対して認めていた同居家族の看護のための休暇措置や忌引き、扶養手当や結婚祝い金などの制度を、戸籍上同性のカップルに対しても拡大していく方針だ。

パートナーの認定には、自治体でのパートナーシップ制度がなければ、双方に署名してもらう宣誓書を提出するか、民生委員の証明書などを適用する。

こうした動きに対し、社員からは「健康保険や年金など、現在も課題は多い。社内制度はある程度拡張されたが、法律改正は時間がかかると思っている」「『カミングアウト』しないことが一番良いと思う。例えば、自分は男です!という自己紹介をする人はいない。普通でいられればいいなと思う」といった声があがったという。

一方、コンサルティングファームのアクセンチュアでは、1社での取り組みではなく業界を巻き込んだ改革について言及。

性的マイノリティの知人を差別によって亡くした経験を持つ人事部の東由紀さんは、2017年に開かれた第1回レインボー国会から参加しているという。「人事部に報告されてくる事例は、決して楽しいことばかりではない。就労するうえで差別を受けたり、困難を抱えたりする。差別はまだまだ職場の中で広がっていて、それは人の命を奪うものだと思う」と述べた。

アクセンチュアのほかEY Japanなど数社が賛同し、企業が抱える課題を調査し、提言をする予定だという。

「コンサルティングファームというビジネスは、問題を洗い出し、深堀をして分析し、そこに対する解決策を提言できることが強み。一つ一つの企業が個人の努力で工夫してきたが、もっと大きな形でまとめて提供できたらと考えている」と語った。

Source: ハフポスト