ドローンで遭難者救助、2019年開始へ KDDIが富士山で実験成功

山岳用ドローン

KDDIは、山岳用ドローンを遭難者の救助に活用する実証実験を富士山で行い、成功したと発表しました。同社はドローン救助システムの開発を、来年2019年の実運用を目指して進めていきます。

KDDIは、4G LTEの通信機能を備えた「スマートドローン」を開発。そして、目視外で飛行するための管制システムや3次元地図などといった、ドローン関連技術の開発も進めています。

ドローンを山岳救助の”斥候”に

ドローンによる山岳救助の活用を模索してきた首都大学東京の泉岳樹助教は、「登山ブームに沸くなか、救助現場は危機的な状況を迎えている」と警鐘を鳴らします。

近年の中高年の登山ブームや”山ガール”ブームの影響で、登山者が増加。それにともなって、遭難者が急増しています。

遭難者数の推移

一方で、遭難者に対応する災害救助隊はそう簡単に増員できるものではなく、遭難者の増加が救助隊員への負担になってきているといいます。その結果、この10年で災害救助用のヘリコプターの墜落事故が急増し、救助隊員の命が失われている事態が多発している、と泉氏は指摘します。

そこで、山岳救助にドローンを活用することで、救助の効率化だけでなく、救助隊の負担軽減、そして二次遭難の防止にもつながるといいます。山岳用ドローンは、救助ヘリを飛ばす前の”斥候”として展開。遭難者の状況を確認するために活用し、より安全確実で、スムーズな救助ができるようサポートします。

山岳用ドローンを開発

KDDIは山岳用ドローンをプロドローン社と共同開発。気象変動への体制を高めたほか、折りたたみ式にして持ち運びやすくしています。実証実験には、登山用地図サービスを開発するヤマップ、気象情報サービスを展開するウェザーニューズ、御殿場市が協力しています。

実証実験には、登山用地図サービスを開発するヤマップ、気象情報サービスを展開するウェザーニューズ、御殿場市が協力しています。

山岳用ドローンの性能

内部に搭載したバッテリーで、最大20分、往復10km程度の飛行が可能としています

ヤマップは登山者の位置を確認するサービスをKDDIと共同で開発。このサービスを利用している登山者の親族から、遭難の通報があったという想定で検証しています。

実験の流れは、(1)遭難通報を受信し、(2)ドローンを展開、(3)遭難場所の位置情報を元に自律飛行し、現場を映像で確認、という内容。実証実験は10月25日に実施され、成功を収めたとしています。

増加する遭難事故への取り組みとして、KDDIは、ヤマップ、ウェザーニュースと協力し、LTE自動飛行のドローンを活用した山岳救助システムを開発した。

遭難救助の理想形

状況を撮影し把握するという、山岳救助支援システムの実験を行いました。

今回の実証実験は、富士山という登山道にLTEエリアが完備された、ある意味”特殊な”環境で行われています。ただし、4G LTEドローンは自律飛行機能を備えているため、圏外エリアが続くような山でも展開は可能としています。

また今回は映像による状況確認のみを行っていますが、KDDIは今後、救援物資の搬送などの可能性も探っていきたいとしています。4G LTEから5Gに移行すると、高解像度のビデオカメラによって遭難者との会話する機能も実現できるとしています。

"富士山へアー"の御殿場市長 若林洋平氏(左)と、KDDI 中部総支社長の渡辺道治氏

15日、KDDIは静岡御殿場市と連携協定を締結。発表会にあわせて、その締結式も実施されました。連携は富士山エリアの観光、災害救助など全般に渡って協力していくという内容。御殿場市長は「富士山を見て、登って楽しみ、無事帰っていただけるよう、取り組んでいきたい」とコメントしています。

大自然を楽しめる登山は魅力的な趣味ですが、時に自然の脅威を思い知らせるような事故は発生するものです。そうした環境で救助に携わる人達を技術で支援する取り組みは、ぜひ広まってほしいものですね。

Source: ハフポスト