こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。
帰宅ラッシュの終わっていない中央線に揺られながら、「四ツ谷に注文住宅を建てる夢が忘れられない……。まさにマリッジブルーという感じ……。大好きな人以外と結婚するのが怖い……」と泣いて告白した鳥です。
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好きではない土地と結婚する恐怖
土地契約って結婚にそっくりですよ。
今後の長い長い暮らしのなかで、自分が日々なにを感じて生きてゆくのか、相手からの影響は計り知れません。
人それぞれ感じ方は違うと思いますが、鳥の場合は相手の将来性や条件などは二の次で、とにかくその時好きな人とじゃないと絶望してしまいます。
大好きじゃない人と結婚するなんて……、ううう、もう怖くて怖くてしょうがない。
普段からしばしば「もし自分がどこかの小国のお姫様で、お国のために別国の王子と政略結婚させられたとしたら……」と妄想しては、「ううう、どうしよう、絶対イヤだ……!」と無駄に苦しんで遊んだりしているぐらいです。
この時はとにかく四ツ谷が大好きで、「四ツ谷≒幸せな未来が待っている」と思い込んでいました。
整形地・破格・車庫も作れる・駅近・スーパーも便利という西新宿の土地の方が条件的には良いことはわかっているのに、鳥夫婦の予算では傷物の土地しか望めない四ツ谷に惹かれる心を忘れられなかった。
でも自らの足でY社に行き、自らの手でたくさんの書類にハンコを押してしまった……。
そんな状況に追い詰められていました。
そんなときに鳥夫から「どうしたの? 嬉しくないの?」と問われ、人目も憚らず泣き出してしまったのです。
鳥夫の反応
マイホームは、夫から妻への愛のプレゼントです。
こんなに大きな決断をしたのに、肝心の妻が喜んでくれないことに、いつも温厚な鳥夫もさすがに感情を露わにし、
「なんでもっと早く言わないの! 今更どうするんだよ!」
と怒りをぶつけてきました。
鳥はボロボロ泣きながら、
「自分でもどうしたらいいかわからなかった。あそこがすごくいい土地だとよくわかっている。私だって新宿は大好きだし、あそこに地縁があるとも感じているし。あとは私の四ツ谷への執着だけ。私の気持ちだけが流れに逆らっているだけじゃない。それがわかっているから、早く気持ちを変えようと思っていたけど、そう簡単に気持ちが変えられなくて…。でも白紙解約の期限まで3か月あるから、その間にまた気持ちも変わっていくかと思って……」
と説明するしかありませんでした。
優しい鳥夫はすぐに鳥の告白を受容してくれましたが、それでも感情を押し殺しながらの抑揚のない声で
「まあ、いざとなったら白紙解除できるから……。どうしても四ツ谷が良かったらやめればいいし……。でも、そう簡単に白紙解除ってできるものなのか不安だけど……」
と言いました。
建築条件付きのからくりを知る
契約が済むと、家造りについてほとんど勉強ができていないままに、すぐに建築条件付きでの家造りが始まりました。
すでに住宅ローン仮申請のための間取図作成において、
- 住宅性能の話はなかった
- 建材の説明はなく、住設機器などの説明しかなかった
- 標準仕様が決められていて、それ以外はオプション料金
- 一式見積書しかもらえない
- 間取りの相談しかされなかった
という違和感を強く感じていました。
そして建築条件付きの家造りについて調べて行くうちに、
「建築条件付きとは、土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」
だということを知ったのです!
建築条件付きの物件に対して「土地だけ売ってもらいたい」と頼むと、1~2割の利益を上乗せされることが多いとのこと……。
多めに見積もって2割だとすると、鳥夫婦が契約した土地は、
3,500万円 × 1.2 = 4,200万円
となります。
まだこの付近の土地相場(ネットからの公開物件)に比べれば安いですが、鳥夫婦が契約に踏み切った理由である「破格感」「掘り出し物感」はない……。
しかも、これから「実は見積金額よりよっぽど品質の低い家造り」が始まると思うと、もう、もう、暗い未来しか描けなくなってしまいました……。
(鳥)
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Source: 日刊住まい