住宅の雑誌やテレビのCMを見ていると、どこのメーカーさんも「ZEH(ゼッチ)」という言葉を使っていますよね。
おそらく実際に見学に行くと、ほとんどの営業マンに「ZEHはご存知ですか?」と聞かれるのではないでしょうか?
なぜオススメするのかというと、消費者にとってメリットが大きいからです。
ただ、このメリットにとらわれすぎて、本来の家づくりの目的が本末転倒になってしまう事例もあります。
事前にある程度、知っておくことで余裕のある家づくりができるのではないでしょうか?
今回はハウスメーカーに5年勤めた筆者だから分かるZEH住宅にする注意点をご紹介します。
ZEHはメリットだらけ!でも苦労するのが補助金申請!
ZEH住宅は毎月の光熱費をゼロにすることができます。
ですが、何もしなくてもゼロになるわけではなく、条件が3つあります。

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- 気密性の高い住宅にすること(断熱性)
- 空調・照明・給湯・換気をあまり使わず省エネ効果の高い設備を導入すること(省エネ)
- 太陽光発電などで、自宅で電気をつくる住宅(創エネ)
これらの条件を満たすことで、光熱費のかからない家を実現させます。

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これだけでもメリットは充分ありますが、さらには国からの補助金がもらえることもメリットです。
ただし、この補助金は申請した人がすべて適用されるわけでなく、先着順です。
さらには、ZEH基準を満たしているかの審査や、補助金申請の期限もあります。
これが足かせとなってしまうことがありますので、気を付ける点をご紹介していきます。
補助金申請に急ぎすぎて、間取りに納得いかないまま進んでしまう
国からもらえる補助金は、その年によって異なり、平成30年度は70万円、さらに「ZEH+」にすると115万円です。
そして公募期間は、5月28~6月29日、7月17日~8月10日、8月23日~10月5日となっています。
一見余裕がありそうですが、この公募期間までに間取りから設備まで、ほとんどのことを決めなければいけません。

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なぜならば、条件に断熱性だけでなく、空調や照明、太陽光などの設備も必須になるからです。
公募期間に間に合わせるため、ハウスメーカーや工務店との契約後、充分な打ち合わせができず、中には仕事の合間を縫って毎日深夜まで間取りや設備を検討する、なんてことも……!
天井が高くて窓の大きい家にしたかったのに、ZEHの影響で叶えられず!
ZEHの条件として、高い断熱性能を保つことが必須となります。
補助金の申請をしたあと、家の大きさや、窓や扉などの開口部すべて細かく計算されます。

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その数値が満たされないために、窓の数を減らす、または小さくするなど対策をしなければいけません。
天井の高さなども見られてしまうので、注意が必要です。
「窓の大きい家にしたい」といった夢を、ZEHのために諦めてしまうというケースもあります。
こんなはずじゃ!と後悔しないためにはどうすればいい?
こう見てみると、ZEH仕様にしたり、補助金申請するのって何だかデメリットの方が多いんじゃないか……と思いますよね。
でも、あらかじめ準備しておけば大丈夫です!
まずは、あまりハウスメーカー選びに悩みすぎないことです。

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この時点で悩みすぎてしまうと、そのあとの肝心な打合せがタイトになってしまいます。
ハウスメーカーに相談する前に、家族で話し合うだけでなく、優先順位をどうつけるのか、どんなことを叶えたいのかメモを取っておきましょう。
なので、「ZEH出来ますよ」という言葉だけでなく、「天井を高くしても、ZEH仕様にできます」と言っていくれるメーカーさんを探しましょう。
そのメーカーが断熱性能にどれだけ自信を持っているかによって、家づくりの満足度も左右されます。
決められた期間の中で、無駄なく計画しよう!
申請期間は時間が限られています。
その限られた時間の中で、間取りや設備を決めなくてはいけません。
後から「窓が小さくなってしまいます」なんて言われたら、ショックですよね?

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ですから、あらじめしっかりと要望を伝えておけば、ほとんどの営業マンは素直に答えてくれます。
ZEH住宅は、これから2020年に向けて標準化していきます。
メリットがたくさんあるので、ぜひこの機会に補助金をもらいながらZEH住宅にしてみてはいかがでしょうか?
【参考】
※ 国交省 平成30年度のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について
Source: 日刊住まい